裁判員制度スタート — そのとき会社はどう対応する? (その2)
裁判員制度についての続きです。 今回は労務管理編です。
◆Q4◆ 裁判員に選ばれたら会社を休んでもいい?
裁判員の仕事は『公の職務』です。
労働基準法第7条で規定されているとおり、会社は公の職務(裁判員の職務)を執行するために必要な時間を与えなければなりません。
そして、裁判員となったことで会社を休んだことを理由に解雇などの不利益取扱をすることは、裁判員法第100条で禁止されています。
労働基準法第7条 「使用者は、労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての権利を行使し、又は公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合においては、拒んではならない」
◆Q5◆ 裁判員休暇は有給か?無給か?
会社は、裁判員の職務のために必要な時間を与える義務はありますが、休暇制度を設けること、休暇を有給とすることについて義務付けられていません。
従って、裁判員休暇制度を定めること、有給か、無給かは、会社の判断に委ねられています。
ちなみに、最高裁のHPは「裁判員としての仕事を行うための特別な有給休暇制度を作っていただくことが重要」で、「休暇制度の導入の検討をお願い」しています。
就業規則中に休暇の取扱い(付与の仕方、有給か無給か、申出の方法など)を定めておくとよいでしょう。
◆Q6◆ 裁判員としての職務を行った日を年次有給休暇にするのはOK?
有給の裁判員休暇制度がない会社などで、裁判員職務につく日を本人の申出により年次有給休暇として取得することは問題ありません。
しかし、会社側が「裁判員職務につく日を年次有給休暇として休みなさい!」と命じることはできません
年次有給休暇をいつ取るかは、計画年休や事業の正常な運営の妨げがある場合を除いて労働者の自由だからです。(労働基準法第39条4)
◆Q7◆ 裁判員としての職務についた事の証明は?
申し出があれば、裁判所が証明書を発行してくれます。
裁判員候補者として出頭したときは、呼出状中の出頭証明書欄に証明スタンプを押印してもらえます。
裁判員として職務についたときは、証明書を発行してもらえます。
そして、この書類を裁判員の職務についた事の証明として会社に提出させ、休暇を認めることは差し支えありません。
K.O